保育士を目指す人は、どのような順序で夢を叶えればよいかご存じですか?まずは『保育士資格』を取得する準備から始めましょう。
この記事では保育士資格の概要と取得方法、試験の概要から勉強のコツまで解説します。資格取得に役立つ制度や特例も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
保育士になるための「保育士資格」とはどんなもの?
保育士資格は国家資格です。国家資格とは「特定の職業に就くこと」を証明するために与えられるもの。取得するには、国が実施する試験により個人の能力や知識の判定を受け、合格しなければなりません。
一度取得すれば一生役立つ資格であり、結婚や出産を機に一度現場を離れても再就職しやすくなる強い武器になります。
ちなみに保育士資格が国家資格になったのは2003年からで、それまでは民間資格でした。
保育士になるために必要な手順は?
保育士資格を取得する方法は2つあります。続いてはそれぞれの流れを説明しましょう。
1.指定保育士養成施設を卒業する
1つ目は、自治体が指定する指定保育養成施設を卒業する方法です。2022年4月1日現在全国には668ヵ所の指定保育養成施設があります。
その種類は大学、短期大学、専門学校など。これらの学校で専門のカリキュラムを受け、保育実習を経験した上で卒業すると保育資格を取得することが可能です。
2.保育士試験を受ける
保育士試験を受け、合格することでも保育士資格は取得できます。試験は年に2回実施されるので、しっかり勉強して合格できる自信がついてから受験しましょう。
なお、保育士資格の試験を受けられる年齢に制限はありません。
「一度別の業界で働いてから保育士を目指したい」「保育士資格を社会復帰に役立てたい」という方が、年齢を気にせず試験を受けられるのはうれしいポイントではないでしょうか。
保育士試験の概要
保育士試験の実施時期や気になる試験の内容、合格率などの情報をまとめました。受験を検討している方は参考にしてください。
保育士試験の実施時期
保育士試験は、1年の前期と後期で2回実施されています。参考までに、2024年度の実施日程は以下のとおりです。
■前期日程
筆記:4月20日(土)・21日(日)
実技:6月30日(日)
■後期日程
筆記:10月19日(土)・20日(日)
実技:12月8日(日)
保育士試験の試験内容
保育士試験は、筆記試験と実技試験で構成されています。まずは筆記試験を受け、合格者は約2ヵ月後に実施される実技試験を受ける流れです。
筆記試験は以下の9科目からなり、2日に分けて実施されます。
1.保育の心理学
2.保育原理
3.子ども家庭福祉
4.社会福祉
5.教育原理
6.社会的養護
7.子どもの保健
8.子どもの食と栄養
9.保育実習理論
各科目の合格基準は満点の6割以上の点数を得ること。ただし5・6の科目のみ例外で、両科目で6割以上の得点率で合格となります(片方が6割以下の場合は不合格)。
実技試験は以下の3つの分野から2分野を選択し、得点率6割以上で合格です。
1.音楽に関する技術
2.造形に関する技術
3.言語に関する技術
保育士試験の受講料・申請方法
受験手数料は12,700円で、別途手数料がかかります(2024年時点)。受験申請はオンラインか郵送で行えますが、オンラインのほうが負担する手数料が少なく済むため、ぜひ活用してみてください。
保育士試験の受験資格
保育士試験は、大学や短期大学、専門学校を卒業した人や在学中の人、中退した人(条件あり)も受験可能です。就職している場合、児童福祉施設で2年以上働いた経験がある方にも受験資格があります。
詳しくは全国保育士養成協議会のウェブサイトサイトに掲載されている「受験資格」のページよりご確認ください。
保育士試験の合格率
保育士試験の難易度はやや高く、合格率は20%前後。実技試験に限った合格率は80%前後ですので、筆記試験でつまずく方が多いのでしょう。
筆記試験は科目数が多いので、まんべんなく知識を得られるよう勉強しておく必要がありそうです。
保育士試験に合格するための勉強のコツ
保育士試験を受けるなら一発合格を目指したいですよね。続いては試験勉強に役立つ教材や、勉強の仕方を解説します。
合格者の平均的な勉強時間は?
保育士試験に合格した人の平均的な勉強時間は、100~150時間といわれています。1日のうち勉強にどれだけの時間を割けるかは人により異なりますが、だいたい2~5ヵ月ほど毎日勉強すればクリアできる時間です。
保育士試験の筆記試験は毎年前期が4月ごろ、後期が10月ごろに実施されているため、試験を受ける日程から逆算して勉強を始めるとよいでしょう。
勉強に役立つ教材は?
保育士試験の勉強をするにあたり「これがあれば絶対に安心!」というは教科書やテキストはありません。大事なのは自分が効率よく知識を得られる勉強方法を把握し、それに合う教材を選ぶことです。
たとえば紙に直接書き込みながらの勉強したい人は、参考書や問題集とノートを用意するのがよいでしょう。
紙に書かれた文字よりPCやスマホの画面に表示された文字のほうが頭に入りやすい人は、電子書籍やアプリを利用した勉強のほうが合うかもしれません。
なお、過去問を解いてみるのはよい勉強方法です。
前述した全国保育士養成協議会のWebサイトには前年分の試験問題が掲載されているため、出題傾向を把握しておきましょう。
実技試験の練習も忘れずに!
実技試験は筆記試験の約2ヶ月半後に実施されます。こちらの練習も同時に進めておきましょう。
音楽の試験では、ピアノかギター、アコーディオンのいずれかの楽器を用い、2曲の課題曲を弾き語りしなければなりません。楽器を弾くだけ、歌を歌うだけならできる人は多いですが、弾き語りは難易度がぐっと高くなりますので、きちんと練習しておくことが重要です。
造形の試験では、保育現場の日常風景を絵で表現します。試験時間は45分、テーマは当日まで分かりません。色鉛筆を使って課題に沿った絵を描くことになるため、試験日までに何枚も絵を描いて練習しておきましょう。
言語の試験では、『ももたろう』『3びきのこぶた』など4つのテーマからひとつ選び、3歳の子どもたちが目の前にいることを想定しながら3分間のお話をします。
試験で見られるのは話し方や表現力の豊かさです。鏡の前で練習したり、録画した映像を見返したりしながら、幼児の興味を引く話し方ができているかどうか確認してみてください。
保育士試験に関わる制度や特例について
もし試験に落ちてもそのまま諦めてはいけません!保育士試験には筆記や実技の一部が免除される制度や、ほかの資格を持っていることで活用できる特例がありますので、最後に紹介します。
筆記試験が免除される条件とは?
筆記試験で合格した科目がある場合、そこから3年の間に試験を受けることで合格した科目が免除になる制度があります。
なお、この3年間のうちに幼稚園や認定こども園などの対象施設で勤務すると、免除期間は最大5年まで延長することが可能です。
筆記試験で1つでも合格した科目があるようでしたら、ぜひこの制度を活用してみてはいかがでしょうか?
幼稚園教諭免許を持っていると?
幼稚園教諭免許を持っている人は、筆記試験の「保育の心理学」「教育原理」の2科目と実技試験が免除されます。
さらに3年以上かつ4,320時間以上の実務経験があると、上記に加えて「保育実習理論」の科目も免除されるので、合格できる確率はぐんと高くなるでしょう。
筆記試験の免除に役立つ資格はほかにも
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の資格も筆記試験の科目免除の対象です。免除されるのは「子ども家庭福祉」「社会福祉」「社会的養護」の3科目。
くわえて、これらの資格を持つ人は、指定保育士養成施設にて上記以外の科目に対応する教科を履修すると、免除科目を増やすことができます。状況次第では筆記、実技のすべての科目をパスできる場合もあるので、有効に活用してくださいね。
わおわお保育園で子どもと一緒に成長しませんか?
保育事業・学童事業を展開する大川グループが運営する「わおわお保育園」では、特に英語と体育の指導に力を入れています。
当園が大切にしているのは、子どもがやらされていると感じない教育を提供すること。それを実現するためには、子どもも保育士も楽しみながら学ぶことが大切です。
英語のカリキュラムでは、保育士も子どもたちと英会話を学びます。「子どもだけがやらされる」のではなく、「保育士も一緒に勉強する」状況をつくることで、ともに成長できる環境づくりを目指しています。
まとめ
保育士試験の合格率は決して高くありません。しかし、自分に合った勉強方法で効率よく知識を培っていけば、必ず合格できます。
これから大学や専門学校へ進学する人は、保育士資格が取得できる進路先を探してみてはいかがでしょうか。すでに進学している人も、就職している人も、試験に合格すれば保育士資格を取得できます。
保育士資格は、保育系や福祉系などさまざまな職場で役立つ資格です。合格を目指してぜひ挑戦してみてくださいね!
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